ガイアフロー静岡蒸溜所の「ユナイテッドS 2023冬」「ポットスティルK 純日本大麦2023年版」「ユナイテッドS 7年 2025夏」は、同じ蒸溜所の500mlボトルでも、原酒の組み合わせ、原料、度数、熟成年数が違います。Whisky Libraryが所有する3本を実際に飲み、正面と背面の表示も確認しました。
先に結論を言うと、初めて静岡を選ぶならバランスの良いユナイテッドS 2023冬、蒸留機Kと日本大麦の個性を追うならポットスティルK、厚みと長い余韻を重視するならユナイテッドS 7年が選びやすいです。この記事では、公式情報とボトル表示で確認できる事実、実飲した主観を分けて比較します。

3本を比較した結論
| 比較項目 | ユナイテッドS 2023冬 | ポットスティルK 2023 | ユナイテッドS 7年 |
|---|---|---|---|
| 構成 | WとKの原酒 | Kの原酒のみ | WとKの7年原酒 |
| 公式度数 | 50.5% | 55.5% | 50.5% |
| 実飲の中心 | りんご、柑橘、蜂蜜、軽いスパイス | 花、果実、麦の甘さ | 熟した果実、木、香ばしさ |
| 飲みごたえ | 中程度 | 力強い | 厚みがある |
| 合う飲み方 | 加水、ハイボール | ストレート、少量加水 | ストレート、少量加水 |
| 選びやすい人 | 初めて静岡を飲む人 | 原料と蒸留機の個性を追う人 | 熟成感と余韻を求める人 |
3本の違いは、単純な価格順や上位・下位では整理できません。ユナイテッドSは蒸留機Wの力強さとKの軽やかさを組み合わせる設計、ポットスティルKは一つの初留蒸留機の個性を前に出す設計です。さらに7年は、ユナイテッドSの方向性を長い熟成で深めています。
実物ラベルと発売時の仕様
| 商品 | 原材料・構成 | 容量 | 発売時期 | 発売時希望小売価格 |
|---|---|---|---|---|
| ユナイテッドS 2023冬 | 海外産麦芽中心、日本産大麦も使用/W+K | 500ml | 2023年12月下旬 | 7,821円 |
| ポットスティルK 純日本大麦2023年版 | 日本産大麦麦芽100%/Kのみ | 500ml | 2023年11月下旬 | 14,905円 |
| ユナイテッドS 7年 2025夏 | 国産・海外産麦芽/W+K、全原酒7年以上 | 500ml | 2025年5月下旬 | 9,790円 |
公式の商品仕様では度数を50.5%または55.5%と案内しています。一方、所有ボトルの日本語背面表示は整数で50%または55%です。本記事の比較表は、商品の設計を比べるため公式仕様の数値を使っています。
ユナイテッドS 2023冬を実飲


りんご、柑橘、蜂蜜がまとまる
香りはりんごや柑橘を思わせる明るさがあり、その後に蜂蜜のような甘さを感じました。口に含むと軽いスパイスが輪郭を作り、どれか一つだけが強く残るというより、果実、甘さ、香ばしさが順番に現れます。
公式は、ファーストフィルのバーボンバレルを主体に複数の樽を使い、ヘビーなピート香や樽香が主張しすぎないバランスを追求したと説明しています。実飲でも、3本の中では最も飲み方を変えやすいと感じました。30mlに炭酸水90mlの1対3で作ると、明るい果実感と甘さが残り、食事にも合わせやすいです。
ポットスティルK 純日本大麦2023年版を実飲


華やかさと麦の甘さが開く
香りは花と明るい果実を思わせ、口に含むと麦の甘さが中心にあります。ユナイテッドS 2023冬よりも設計の焦点が絞られており、蒸留機Kの軽やかで華やかな方向と、日本大麦の繊細な甘さを追いやすい一本です。
ただし公式度数は55.5%です。最初の一口では刺激が先に出たため、数滴ずつ水を加えると、花、果実、麦の甘さを拾いやすくなりました。ロックで強く冷やすより、ストレートから少量加水へ移る方が、このボトルの違いを確認しやすいです。
「純日本大麦」は日本産大麦麦芽100%を意味しますが、公式は静岡県産大麦ではないと明記しています。商品名だけから「静岡県産大麦100%」と解釈しないことが重要です。
ユナイテッドS 7年 2025夏を実飲


厚み、木の香り、長い余韻
2023冬と同じくWとKの原酒を組み合わせていますが、実飲では果実の明るさだけでなく、木の香りと香ばしさが前に出ました。口当たりに厚みがあり、飲み込んだ後も甘さと木のニュアンスがゆっくり続きます。
公式は、構成するすべての原酒が7年以上熟成され、バーボン樽を主体に使うと案内しています。最初はストレートで厚みを確認し、刺激を抑えたい場合だけ少量の水を加える飲み方が合いました。ハイボールにもできますが、3本の中で炭酸割りを優先するなら2023冬を選びます。
実飲で感じた違い
| 評価軸 | 2023冬 | K 2023 | 7年 |
|---|---|---|---|
| 果実感 | りんご、柑橘 | 明るい果実、花 | 熟した果実 |
| 甘さ | 蜂蜜を思わせる | 麦の甘さ | 厚く、落ち着いた甘さ |
| 香ばしさ | 軽い | 穏やか | 最も感じやすい |
| 木の香り | 控えめ | 控えめ | 明確 |
| 刺激 | 中程度 | 最も強い | 厚いがまとまる |
| 余韻 | 中程度 | 麦と果実が続く | 最も長い |
ユナイテッドS 2023冬は平均点を狙った無個性な一本ではなく、異なる個性を持つWとKを飲み方の幅につなげています。ポットスティルKは比較の軸が原料と蒸留機へ移り、7年は熟成による厚みと余韻が加わります。この設計差を理解すると、価格だけに左右されず選びやすくなります。
おすすめの飲み方
| 飲み方 | 2023冬 | K 2023 | 7年 |
|---|---|---|---|
| ストレート | 全体像を確認しやすい | 度数の刺激が出やすい | 厚みと余韻を確認しやすい |
| 少量加水 | 果実感が開く | 最も相性が良い | 木と甘さがなじむ |
| ロック | 軽快になる | 香りが閉じやすい | 重さを抑えられる |
| ハイボール | 最も使いやすい | 濃いめなら個性が残る | 可能だが優先度は低い |
飲み比べるときは、まず各15mlをストレートで確認し、その後に数滴ずつ水を加えます。最初から氷や炭酸を入れると温度と希釈の差が大きくなり、3本の設計差を比較しにくくなります。ハイボールの基準はハイボールの作り方で説明しています。
どの1本を選ぶか
- 初めて静岡蒸溜所のボトルを試す:ユナイテッドS 2023冬
- ハイボールも含めて飲み方を変える:ユナイテッドS 2023冬
- 日本大麦と蒸留機Kの個性を確かめる:ポットスティルK 純日本大麦2023年版
- 高い度数を少量加水で開く変化を楽しむ:ポットスティルK 純日本大麦2023年版
- 熟成感、厚み、長い余韻を優先する:ユナイテッドS 7年 2025夏
- ストレートでゆっくり飲む:ユナイテッドS 7年 2025夏
3本はいずれも限定または過去エディションで、在庫と実売価格は変動します。発売時価格をそのまま現在の相場とみなさず、購入時に容量、エディション、度数を確認してください。ジャパニーズウイスキーの表示基準はジャパニーズウイスキーの定義、背面表示の見方はウイスキーラベルの読み方で整理しています。
まとめ
- ユナイテッドS 2023冬はWとKを組み合わせ、果実、蜂蜜、軽いスパイスのバランスが良い
- ポットスティルK 2023は日本産大麦100%と蒸留機Kの原酒に絞り、華やかさと麦の甘さを追いやすい
- ユナイテッドS 7年は全原酒が7年以上で、厚み、木の香り、長い余韻が目立つ
- 初心者とハイボールなら2023冬、少量加水で個性を追うならK、ストレートと熟成感なら7年
- 公式度数と日本語背面表示の整数表記は異なるため、比較では公式仕様を基準にした
- 3本とも公式がジャパニーズウイスキーと案内している
実物を並べて飲むと、静岡蒸溜所の面白さは「一本の代表銘柄」だけでは分かりません。WとKを組み合わせるユナイテッドS、一つの蒸留機に焦点を当てるポットスティルK、熟成年数で深みを増した7年。原酒設計から選ぶと、3本の違いがはっきり見えてきます。
参考・確認先
- 静岡蒸溜所|シングルモルト静岡 商品一覧(2026年10月19日確認)
- ガイアフロー|静岡 ユナイテッドS 2023冬 発売案内(2023年11月30日公開、2026年10月19日確認)
- 静岡蒸溜所|ポットスティルK 純日本大麦2023年版(2026年10月19日確認)
- 静岡蒸溜所|ユナイテッドS 7年(2026年10月19日確認)
- 所有する3本の正面・背面ラベル(2026年10月19日画像確認)